翔べ!必殺うらごろし

翔べ!必殺うらごろし(14作目)

 

<シリーズの特徴>

筆者は、このシリーズを全話はみていないので、正確で客観的な分析はできない(DVD-BOXの上巻分と最終回は観ている)。このシリーズの内容に関しては、「必殺!裏稼業の凄い奴ら」(フットワーク出版社、1994年刊行)第4章での「うらごろし」言及個所が参考になった。

 

このシリーズは、それまでの基本フォーマットを無視して(あるいは破壊して)作られたといったことが前述した著作も含め何人かのファンによって語られている。

それまでの「頼み人から報酬を受け取って仕事を行う」という基本設定を無視して、主人公たちが報酬を受け取らずに殺しを行うという設定にしたのもその一環だろう。

これは、マンネリ化を打破して新鮮な作品を作るための苦肉の策でもあるし、またピカレスクロマンのテーマを放棄し、カタルシス(懲悪)ドラマのテーマに基づいて番組作りを行った当然の帰結ともいえる。

「頼み人の晴らせぬ恨みを晴らす」「許せぬ悪人たちを制裁する」というテーマに基づいて作品を制作するのであれば、頼み人から報酬を貰わなければならない必然性はない。むしろ報酬を受け取らない方がテーマが明確になる。

(1981年頃発売された雑誌の中で、制作者の山内久司氏か櫻井洋三氏が「お金を貰わずに悪人を殺している時代劇の登場人物は、ただの殺人鬼だ」といった発言をしていた。だがこれは、主人公たちに形式的にお金を受け取らせていたことを正当化するための発言だろう。)

また、基本フォーマットの破壊の件に関しては、シリーズの根幹をなす設定を壊さなければマンネリ化を防げないということは、もはや必殺シリーズをマンネリ化させずに作り続けることが限界にきたことを示している。

 

<ストーリーの特徴>

シリーズ序盤は、オカルト色をとりいれたこともありフィクション色のある作品も作られたが、全体的には「カタルシスドラマ」「シリアスドラマ」メインの作品作りとなっている。「恨みを晴らす」というテーマが強調されているので、ストーリーも悪役の描写・被害者の描写がメインとなっているといえる。